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- A Wondrous Encounter With Ernie Barnes -


7年前の夏、沖縄のあるソウルバーで、ERNIE BARNES(アーニー・バーンズ)の絵
(LATE NIGHT DJ)を初めて見た。

以前からSOULが好きだったので、見覚えはあった。

僕はその店で、ただ音楽を楽しみ、ビールを飲み、観光客気分を満喫するはずだった。そのソウルバー
で見たものが、もし単純にレコードジャケットそのものが大きく引き延ばされたポスターだったならば、
何事も起こらなかったはずだった。

しかし、それは、ジャケットではなく、一枚の絵として独立していた。



"SUGAR SHACK"  open edition  1971年

不思議に思った僕は訊いてみた。


僕;
「これってあのカーティス・メイフィールドのレコードのジャケットの絵ですよね?これ、誰の絵なんですか?」

店員の方;
「アーニーバーンズ」

僕;
「えっ、アーニーホニャララ…。どこで買えるんですか?」

店員の方;
「ニューヨーク」


店員はお世辞にも愛想が良いとは言えなかったが、まさに「衝撃」的なインパクトをもらって店をでた。

それから東京に戻って、その画家の名前を良く思い出せなかったので、急いでレコード棚に
あったカーティスメイフィールドの「SOMETHING TO BELIEVE IN」を取り出し、よく見てみた。

右下に、

「ERNIE BARNES」

と書いてある。


「これかぁ、この人の絵がジャケットに使われているんだぁ」


そしてすぐにPCに向かい、「ERNIE BARNES」の文字列を検索すると、彼のオフィシャルサイト
らしきものがヒットした。

良くわからない英語のサイトを、画像だけを頼りにみていると、なんとマーヴィン・ゲイ
の「I WANT YOU」のあの絵(「SUGAR SHACK」)までもが、この「ERNIE BARNES」という画家の作品
であることがわかった。

突然嬉しくなった。そしてこの絵を手に入れたいと強く思った。

それからしばらく、ERNIE BARNESの絵を国内で探し求めた。

さすがに絵を買いにニューヨークに行くような余裕は、当時学生の僕には無かった。

それにきっと日本のどこかで売っているはずだと思っていた。


まずはインターネットで「ERNIE BARNES」
「アーニー・バーンズ」「マーヴィンゲイ ジャケット」
「I WANT YOU  絵」「カーティスメイフィールド 絵」
「ニューヨーク 絵 ソウル」…

と考えられるあらゆるキーワードで、あらゆる検索エンジンを使って探したが、どこにも売っていなかった。

ソウルフリークの知人や友人、あるいは絵の所有者であった人に訊いても

「海外で売っている」

以上の情報は得られなかった。日本では、ERNIE BARNES には辿り着くことができなかった。



こうなったらあの英語のサイトから思い切って
買ってみよう!そう決意した。

今にして思えば、英語が苦手だった僕は、誰か英語の得意な友人に2000円くらいの手数料を渡して、

「英語良くわからないからあの絵を買ってくれる?2千円あげるしさぁ」

とでも頼めば良かったと思うのだけれど、当時はなぜか「まずは英語の勉強だ!」と、少し間違った方向に進んだのだった。

おかげさまで、英語は少し上達した。なんとか辞書を片手に英語でE-MAILのやり取りを出来るくらいまでになった。

アメリカに注文をしてから、海外送金は面倒だし手数料も高いし、カードが良いということになって、VISA CARDを作ったり、注文メールを送ったのに返信がずいぶんと無かったりと、擦った揉んだあり、一筋縄ではいかないとても長い買い物だったけれど、僕は無 事に、あのソウルバーに飾ってあったのと同じ絵、「LATE NIGHT DJ」を手に入れた

  "LATE NIGHT DJ"  open edition  1978年

送料や英会話の本だなんだと、学生だった僕にはずいぶんと大きな出費だったけれど、
梱包を解いた時には、嬉しくて、思わずその場で小躍りしてしまった。


話は変わるが、レコードを集めるのが好きだった(今でも集めているけれど。英語には現在完了形
があるのでこういう表現をしたい時に便利だ)。

針を落として聞こえてくる音楽ももちろん良いし、あの大きなジャケットも、あの時間の流れを感じ
させる古い匂いも良いと思う。

レコードを聴く時は必ずジャケットをターンテーブルの脇に立てかけ、それを眺めながら聴く。時には、その
アーティストが綴るストーリーが、今の自分に重なったりした。その一連の行為に魅せられ、
レコード屋さんに足繁く通う。

生きていれば落ち込むこともあるし、誰かに優しく
声をかけてもらいたいときだってあると思う。
僕にも例外無くそういうことがある。

そういったいくつかのシチュエーションや、
人生でのタイミングにおいて

(もちろん全てとは言わないけれど)

レコードが元気にしてくれたり、立ち直らせてくれた。
レコードとの出会いは、確実に僕の人生を豊かにして
くれていると思う。


そんな想いはいつしかERNIE BARNES の作品や、音楽に関連の深い芸術作品、あるいはレコード
そのものを売りたい、そういうアーティストを日本に呼んでドキドキワクワクしたい、
それを事業の柱に据えた会社を興したいという、具体的な目標に変わっていた。

そこである程度まとまったお金がいると判断した僕は、大学を卒業して、2年間、馬車馬の
ようにに働き、軍資金を貯めた。

そして、ERNIE BARNES ARTのEXCLUSIVE
PUBLISHERに1通のE-MAILを送った。


「僕は日本に住んでいる。あなたの絵を輸入したい。」


先方からの返事は無かった。最初のうちは返事が来ないので、週に1度のペースで(時には5日間連続で)
メールを送った。色々とパターンを変えながら、そんなことを数ヶ月も続けた。


でもやっぱり、返信は無かった。


ほとんど諦めかけていた2005年の4月、メールボックスに一通のメールが届いた。

「Re:Would you be interested in promoting your products in Japan?」

内容は、「返事が遅れて申し訳ない。
ビジネスライセンスを送ってくれ。検討する。」

最初は個人ディーラーから始めるつもりだった。しかし、どうしても個人は相手に出来ないという
ことだった(この辺りから、メールのやり取りはスムーズになって来た、というか打てば響くよう
になってきた)。

これを良い機会だと捉えた。
この絵を日本に輸入する為にお金を貯めたので、
会社設立という選択肢以外は無かった。

色々とリサーチを重ね、僕はアメリカの
ハワイに株式会社を設立することにした。
2005年9月11日、ホノルルに登記を済ませた。

先方も、僕の熱意(というか、あまりのしつこさに)
を理解し、喜んでくれた。
こうして晴れて、彼の作品を日本人では初めて
日本に紹介できることになった。

今ではERNIE BARNES以外のアーティストとのコンタクトも、以前とは比較にならないほど
自然に取れる様になった。いずれも日本ではあまり認知されていない人々だ。
今後もそのネットワークを広げていきたい。


1枚のレコードでいくばくか豊かになる人生がある。
1枚の絵でいくばくか豊かになる人生がある。
1つの出会いでいくばくか豊かになる人生がある。


ART PLACE MARKET を通じて、皆様の人生が
いくばくかでも豊かになれば、これ以上の喜びはありません。

2006年 夏
PICTURE & CO., INC.
代表取締役 ミヤコシ タカヒロ